子どもの難聴(小児聴覚障害)は、先天性の難聴と後天性の難聴に大別されます。マスコミでは、子どものストレス難聴と呼ばれる心因性難聴(機能性難聴)が取り上げられることも多いです。先天性の難聴としてはアッシャー症候群や先天性風疹症候群があります。後天性の難聴で見られるのが滲出性中耳炎による伝音性難聴・音響外傷・ムンプス難聴などがあります。滲出性中耳炎は小児と高齢者に多い疾患です。
乳幼児期から難聴があると、言葉の発達が遅れることはよく知られているところです。子どもの難聴(小児聴覚障害)の問題点はコミュニケーションが上手く図れないことがあり、知的発達にも影響します。聴覚障害は早期に発見して早期にリハビリテーションを開始することが重要です。ことばの遅れた子どもでは聴力検査で難聴の有無を確かめるなど、小児の場合は周りの大人の対応が鍵になります。
先天性難聴として、アッシャー症候群などの遺伝性難聴や、先天性風疹症候群など胎児期に原因があるものがあります。アッシャー症候群は生まれた時に既に重度の感音性難聴で、加えて徐々に視力障害が進行します。妊娠3ヶ月以内に母親が風疹(三日ばしか)に感染することで子どもが重度難聴になることがあります。先天性風疹症候群による難聴は母親の予防接種で防ぐことのできる難聴です。
後天性難聴でよく見られるのが滲出性中耳炎です。滲出性中耳炎は小児と高齢者に多い疾患ですが、中耳に滲出液が溜まることによる伝音性難聴です。体質的に耳垢(耳あか)がつまりやすい子どもの場合は要注意です。音響外傷も見過ごせません。日常的に大きな音を聞いていると徐々に難聴の状態に陥ってしまいます。
ウイルス性難聴とは、ムンプスウイルス・麻疹ウイルス・風疹ウイルス・サイトメガロウイルスなどが原因の難聴です。ムンプスウイルスによる感染は、おたふく風邪とか流行性耳下腺炎として広く知られています。おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は数百人に1人の割合で子どもに難聴が現れるといわれています。おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の感染歴がなかったりワクチン接種(予防接種)をしていない場合は、成人でも発症する事があります。麻疹(はしか)による内耳炎も難聴の原因になることがあります。おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)・麻疹(はしか)・風疹(三日ばしか)は予防接種(ワクチン接種)で防げますが、日本では予防接種(ワクチン接種)による合併症がゼロでないとの理由から、これらの予防接種(ワクチン接種)は任意です。どちらが良いとは断言できませんが、合併症のリスクと発症後のリスクを考えると予防接種(ワクチン接種)をすすめる医師も少なからず存在します。
子どものストレス難聴は6~14歳に集中し、女児に多いのが特徴です。また自覚症状があまりなく、学校の聴力検査(標準純音聴力検査)で異常が発見されることが多いといわれています。子供のストレス難聴と呼ばれる心因性難聴(機能性難聴)は、小学校や中学校など人間関係が形成される時期に集中しています。子供のストレス難聴は早期発見が大切です。放っておくと授業についていけないほどに難聴が進んだり、補聴器が必要になることもあるからです。子供のストレス難聴の原因はなんでしょう?学校でのいじめなど人間関係による心の傷が難聴という形で現れたり、家庭内不和による孤独感が難聴という形で現れたりします。ストレス難聴の治療は耳ではなく心の治療になります。耳鼻科での検査とともに心療内科などで治療やカウンセリングを受けるのがよいです。耳鼻科と心療内科など、耳に関わる科と心に関わる科のある総合病院がよいと考えられます。子供のストレス難聴は心が発するSOSです。だだし、純音聴力検査など自覚的聴力検査は、検査を受ける側の無意識・意図的に関わらず、検査中の応答が検査結果に反映されることを忘れてはいけませんし、小児の機能性聴覚障害には健診ミスや集中力欠如であることもあります。検査結果で異常が見られたからといって、回りが慌てたり大騒ぎするのも考え物です。冷静・慎重に対処することが大切です。

